毎週、技術書を読んで、ざっくり紹介します。今日は、山本 陽平著『Webを支える技術 ―― HTTP,URI,HTML,そしてREST』。
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本書の目次
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第1部 Web概論
第1章 Webとは何か
第2章 Webの歴史
第3章 REST ── Webのアーキテクチャスタイル
第2部 URI
第4章 URIの仕様
第5章 URIの設計
第3部 HTTP
第6章 HTTPの基本
第7章 HTTPメソッド
第8章 ステータスコード
第9章 HTTPヘッダ
第4部 ハイパーメディアフォーマット
第10章 HTML
第11章 microformats
第12章 Atom
第13章 Atom Publishing Protocol
第14章 JSON
第5部 Webサービスの設計
第15章 読み取り専用のWebサービスの設計
第16章 書き込み可能なWebサービスの設計
第17章 リソースの設計
紹介と感想
Web技術を体系的に網羅した書籍として有名な『Webを支える技術』。出版されたのは2010年であるものの、2023年現在でも、Webというものをきちんと理解するための最初の一冊としては十分有効なのではないだろうか。
内容的には、Web関連技術についての歴史や仕組みを広く浅く取り扱っているという印象。読み物としても十分面白く、気楽にすいすい読めた。
面白いといっても、書きっぷりは極めて平易で、ある種の教科書のような雰囲気もあるため、エンターテイメント性は皆無である。その点は注意いただきたい(そんなのを求める読者がいるのかは疑問だが)。
内容的にはOSI基本参照モデルでいうところの第7層(アプリケーション層)に特化した内容が書かれているという印象。
「ネットワークエンジニア」向けというよりは、「Webシステムを開発するソフトウェアエンジニア」がWeb技術を理解するための本、という位置づけかなと感じる。
当たり前かもしれないが、出版当時ではまだ聞き馴染みの少なかったと思われるRESTについてもしっかり解説されている。2023年現在では、Webの文脈で当然のように登場するREST/RESTfulという言葉を、しっかりと理解することができるだろう。
先述の通り、出版自体は古いため、一分技術は陳腐化しているというようなものも存在する。
例えば、書籍ではHTTP1.1までの紹介がされているが、その後2015年頃にHTTP2(HTTPメッセージの並列化対応など)、2020年頃にHTTP3(QUICプロトコルへの対応など)がそれぞれ生まれており、現時点ではHTTP3は標準化しているような状況だ。
こういった新たな情報については、やはり別途最新のコンテンツに当たるほかない。例えばHTTPについては下記、WEB+DB PRESSで連載された情報の再掲が参考になるだろう。(これは余談だが、WEB+DB PRESSも2023年8月で休刊となった。残念なことである)